インドの「スワッチバーラ(クリーン・インディア)」政策は、1 億 1000 万基以上のトイレ設置を達成し、野外排泄ゼロを掲げたが、実態は大きく異なる。トイレの設置自体が目的化し、保守管理の予算不足や下水道インフラの未整備により、多くの施設が放置されている。さらに、糞尿処理を担う不可触民(ダリット)への差別構造が根強く残り、近代的な水洗トイレの普及が逆に彼らの過酷な労働環境を強化している側面がある。一方で、スタートアップ企業がロボット技術を用いてダリットの労働環境改善と尊厳回復を目指す動きも生まれている。本書は、経済成長の裏側にある衛生問題とカースト制度の複雑な絡み合いを、現場の視点から浮き彫りにしている。
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